フリーランス（個人事業主）の方必見！ 事業用口座を開設するメリットや方法、選び方

フリーランス（個人事業主）として事業を運営する場合は、「事業用口座」を 開設することをおすすめします。

すでにプライベート用として所有している口座をそのまま事業用に使用しても 問題ありませんが、「プライベート用口座」と「事業用口座」をきちんと分け るほうがスムーズに経理処理を行えるためです。

そこで、今回はフリーランスとして事業活動している方、あるいはこれから開 業する予定のある方に向けて、事業用口座を開設するメリットや方法、選び方 を詳しく解説します。

さらには、フリーランスとして安全かつスムーズな事業運営を目指す方におす すめしたい「バーチャルオフィス」の魅力についてもまとめました。

フリーランスが事業用口座を開設するメリット

まずは、フリーランスとして事業運営する場合に「事業用口座」を開設する主 なメリットをご紹介します。

・確定申告に備えた会計管理を楽に行える

まず注目したいメリットは、確定申告に備えた会計管理を楽に行えることです。

フリーランスの事業者は確定申告の際に「青色申告」を選択しますが、青色申 告の場合は複式簿記での記帳が必要になります。複式簿記では事業所得に関す る取引とそれ以外の取引を明確に仕分けることが求められるため、プライベー ト用と同じ口座で収支管理を行ってしまうと仕分け作業に手間がかかってしま います。

一方、事業用口座を開設しておけば面倒な仕分け作業は必要ありません。日々 の会計管理はもちろん、確定申告に向けた書類も作成しやすくなるでしょう。

・事業の財務状況を把握しやすくなる

事業用口座を開設することで、事業の財務状況を把握しやすくなることも大き な魅力です。

「フリーランス活動における収入」と「事業用にかかった経費」が集約された 事業用口座があると、現在どのくらいの収入があり、どのような支出が発生し ているのかが一目瞭然です。もしも同じ口座にプライベート用の収支が混ざっ ていると帳簿管理に手間がかかるため、ひと目で財務状況を把握できる事業用 口座は計画的な事業運営を目指すうえで重要なツールになるといえます。

・税務調査に対応しやすくなる

税務調査に対応しやすくなることも、事業用口座を開設するメリットのひとつ です。

税務調査とは「確定申告の内容が正しいかどうかを調査すること」で、税務調 査の際には通帳や収支に関わる資料の提出を求められます。

もしもひとつの口座に事業用とプライベート用の支出が混在していると、事業 用の収支がわかりづらいことはもちろん、場合によっては「私的費用を経費計 上しているのではないか」といった疑念を抱かれてしまうかもしれません。

税務調査はフリーランスとして活動している限り毎年発生することなので、ス ムーズに対応するためにも事業用口座を開設することをおすすめします。

フリーランスが屋号名で口座を開設する方法

フリーランスとしての活動に向けて事業用口座を開設する際には、「屋号名」を使 用するケースが多くみられます。屋号とは個人事業主がビジネスを営む際に用いる 名称、いわばビジネスネームのことで、屋号を使用して口座を開設すると「クライ アントからの信頼度が高まる」「本名を伝えずに仕事ができる」といったメリット があります。

では、屋号名を使用して事業用口座を開設するにはどのような手順を踏めばいいの か、基本的な流れを押さえておきましょう。

なお、屋号名での口座開設は、個人名での口座開設よりも時間がかかる傾向がある 点に注意しましょう。平均的に1週間ほど要するケースが多いため、事業運営に支 障が出ないように時間に余裕を持って準備を進めることが大切です。

フリーランスが事業用口座を選ぶ際にチェックしたい3つのポイント

フリーランスとしての活動に使用する銀行口座は、以下でご紹介する3つのポイン トに注目して選ぶことをおすすめします。

【チェックポイントその1】手数料

お金の振り込みや引き出し時に発生する手数料は、利用する銀行によって異なりま す。あらかじめ調べておき、なるべく少ない負担で利用できるところを選ぶとよい でしょう。

【チェックポイントその2】金利

預金につく金利の高低も、口座選びを行う際にぜひチェックしておきたいポイント です。どの銀行にしようか迷ったら、なるべく高い金利のところを選択しましょう。

また、金利だけでなく「金利が適用される条件」も併せて確認することが大切です。 なかには好条件の金利が適用されるには一定額以上の預金が必要なケースもあるた め、条件についてもしっかりと把握しておくことをおすすめします。

【チェックポイントその3】会計ソフトとの連携

導入する会計ソフトと連携が可能かどうかも、口座を選ぶ前に確認しておきましょ う。会計ソフトによって提携している銀行が異なるため、きちんとチェックせずに 口座を選んでしまうと「せっかく口座を開設したのに、このソフトとは同期できな い…」といった失敗が生じる恐れがあります。

まずは利用を検討している会計ソフトの提携銀行を確認し、そのなかから事業用口 座を開設する銀行を決めるとスムーズです。

フリーランスなら「バーチャルオフィス」を活用した事業運営がおすすめ！

フリーランスにとって事業用口座の開設は大切な開業準備のひとつですが、それに 加えておすすめしたいのが「バーチャルオフィス」の導入です。バーチャルオフィ スとは空間や設備を持たない「仮想の事務所」のことで、フリーランスの活動に利 用すると以下のようなメリットがあります。

・ビジネス用の住所と自宅住所を分けることができる
・都心の住所を利用できる
・初期費用や固定費を抑えられる
・プライバシーを保護できる
・ミーティングスペースを利用できる

具体的にどのようなメリットがあるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

・ビジネス用の住所と自宅住所を分けることができる

バーチャルオフィスを利用すると、事務所用に適した住所を借りることができます。 特に「自宅兼オフィス」として自宅を拠点に活動したいフリーランスにとって、ビ ジネス用の住所と自宅住所を分けられることは大きな魅力です。

なかには自宅住所をそのままビジネス用の住所として利用している方もみられます が、物件によっては「事業用の使用はNG」といった規約が定められているところも あるため注意が必要です。それを知らずに法人登記を行って事業運営を続けている と、物件のオーナーや管理会社とトラブルに発展する恐れがあります。

特に賃貸物件の場合は事業用に使用できないケースがほとんどなので、バーチャル オフィスを利用してビジネス用の住所を設けることをおすすめします。

・都心の住所を利用できる

バーチャルオフィスの拠点は、一流企業がオフィスを構えるような都心に多く存在 します。そういった一等地の住所をホームページや名刺に載せれば事業者としての 信頼性が高まり、フリーランスとしての活動の幅が広がることでしょう。

ちなみに都心の一等地でオフィスを借りるとなると数十万円の家賃がかかりますが、 バーチャルオフィスであれば月に数千円程度の負担で済むこともうれしい魅力です。

・初期費用や固定費を抑えられる

事務所用に物件を借りる場合に比べて費用を抑えられることも、バーチャルオフィ スを利用するメリットのひとつです。

一般的に賃貸物件の契約時には敷金や礼金、保証金といった初期費用が発生し、金 額としては家賃の数ヶ月分程度になるケースが多くみられます。また、契約後も毎 月の家賃や光熱費などの固定費がかさみ、特に「なるべく少ない予算で開業した い」とお考えの方にとっては大きな痛手になるでしょう。

一方、バーチャルオフィスであれば少額の登録料と、月に数千円程度の月額料のみ で事業用の住所を借りることが可能です。金銭的にも精神的にも余裕を持った状態 で、健全な事業運営を目指せます。

・プライバシーを保護できる

自宅を拠点にフリーランスの活動を行う際に、バーチャルオフィスの導入は「自分 や家族のプライバシーの保護」に大きく役立ちます。

というのも、自宅住所で法人登記を行って事業を運営する場合、自宅住所の公開は 避けられません。ネット上で検索すれば誰でも閲覧可能な状態となるため、場合に よっては見知らぬ人が突然自宅を訪ねてきたり、自宅住所が犯罪などに利用されて しまったりといった危険性があります。

その点、バーチャルオフィスの住所で事業活動を行えばそういったリスクはなく、 自分や家族のプライバシーを気にかける必要はほとんどありません。安全性の高い 環境のもとで、事業運営に集中できるでしょう。

・ミーティングスペースを利用できる

バーチャルオフィスによっては、ミーティングスペースを利用できるところも存在 します。特に自宅を拠点にフリーランス活動を行う場合は「どこでミーティングし ようか」と悩むケースが多いため、バーチャルオフィスのミーティングスペースは クライアントとの打ち合わせ時などに大変重宝するでしょう。

まとめ

フリーランスとして活動する際には、事業用口座を開設して会計管理を行うこ とをおすすめします。「確定申告をスムーズに行える」「事業の財務状況を把 握しやすい」といったさまざまな魅力があるので、ここでご紹介した選び方を 参考にしながら口座開設準備を進めてみてはいかがでしょうか。

また、その際にはぜひ「バーチャルオフィス」の導入も検討してみてください。 コスト削減やプライバシーの保護などのメリットがあり、フリーランスとして の活動を支える基盤になるでしょう。