分譲マンションにお住まいの方のなかには、「自己所有の家だから自宅住所
で法人登記をしても問題ないだろう」とお考えの方もいるかもしれません。
しかし、マンションなどの集合住宅には「管理規約」が設けられており、規
約内容によっては自宅を登記先住所として利用できない場合もあるため注意
が必要です。
そこで、今回は「法人登記と管理規約の問題」をテーマに、自宅を登記先住
所として申請できないケースやその理由について詳しく解説します。また、
もしも管理規約に違反して法人登記を行った場合にどうなるのか、さらには
実際のトラブル事例などもご紹介しながら、自宅以外の住所で法人登記する
場合におすすめしたい「バーチャルオフィス」の魅力についてもまとめまし
た。
法人登記を行う際に、自宅を本店所在地として登録して「自宅兼オフィス」
とすること自体は可能です。ただし、分譲マンションにお住まいの場合は物
件の管理規約に従う必要があり、管理規約の内容によっては法人登記ができ
ない恐れがあります。
ちなみに管理規約とはマンション等の管理組合が定める根本規約のことで、
物件の用途について「居住用に限る」と明記しているケースは少なくありま
せん。事業をすると不特定多数の人が訪れるなど人の出入りが激しくなりや
すいことから、防犯や安全性の観点で法人登記を禁止している管理組合が多
い印象です。
マンションの管理規約は契約時に渡されており、自宅の住所を登記先住所と
して使用したい場合には事前に確認することが大切です。管理規約に「居住
用として利用」や「事務所用途は不可」などの文言が入っている場合は、基
本的には自宅を法人登記できないと認識する必要があります。
もしもしっかりと確認せずに無断で登記したり、管理規約の内容を把握して
いながらも開業先住所として利用したりすると、管理規約違反として責任を
問われる可能性があるため注意しましょう。管理組合とのトラブルに発展す
るだけでなく、場合によっては退去に追い込まれる恐れもあります。
ここでは、カスタマープラスのバーチャルオフィスを利用されている方が実 際に体験された「管理規約に関するトラブル事例」をいくつかご紹介します。
5年前に居住用マンションを購入し、その住所をネット通販のリアル店舗とし
て、さらには登記先住所として利用していました。また、店舗に来られるお
客様が迷わないよう、ドアの前に小さな看板を掲げて運営していました。
ある日管理組合から「管理規約にも記載されているが、住居以外の利用は違
反行為になるので早急に止めてもらいたい」との連絡が。自己所有のマン
ションだったため、まさか管理規約違反になるとは思わず驚きました。
すぐに移転先を探し、カスタマープラスのバーチャルオフィスにお世話にな
ることにしました。
社労士です。
3ヶ月前にマンションを購入し、その住所を社労士事務所として利用していま
した。玄関の表札には社労士事務所名を併記して出していました。
ある日、管理組合から「管理規約の用途では【住居専用】に限定しているの
で、社労士事務所としては利用できない。使い続ける場合は規約違反になる
ため、退去してもらうことになる」と言われました。
管理組合に交渉しましたが受け入れてもらえず、カスタマープラスのバー
チャルオフィスを利用することにしました。
旅行代理店を運営しています。社員は自分ひとりのみでアルバイトなどは
雇っておらず、自宅を事務所兼用として利用していました。
ある日、トラブルになった顧客が間違えて隣の部屋へ行ってしまい、大きな
問題に。後日管理組合から「事務所利用はできないため、すぐに事務所とし
ての利用はやめるように」との連絡が入りました。
すぐに事務所として利用できる物件を探し始めましたが、条件に合う物件が
なかなか見つからず途方に暮れていたところ、知り合いからカスタマープラ
スを紹介してもらいました。
居住用マンションを法人登記すると、上記のように管理規約に違反してトラ
ブルに発展する恐れがあります。そこで、もしも「事務所用に物件を借りる
ことはしたくない」とお考えの場合は、バーチャルオフィスを利用されると
よいでしょう。
バーチャルオフィスとは「仮想のオフィス」のことで、開業時に必要となる
登記先住所を借りられるサービスです。基本的には登録料や月額料のみで利
用でき、事務所用として賃貸物件を借りるよりも大幅にコストを抑えられま
す。
分譲マンションには管理規約が設けられており、もしも「用途は居住用に限
る」といった記載がある場合は自宅を登記先住所として使用できません。ま
た、管理規約の問題以外にもさまざまなリスクがあるため、自宅をオフィス
として使用せずに事務所用の物件を借りるか、登記先としてバーチャルオ
フィスを利用するとよいでしょう。
事前にリスク回避を行い、安全かつスムーズに登記手続きを進めていきま
しょう。