COLUMN コラム(お役立ち情報)

海外在住の方・外国籍の方が日本で不動産を購入する方法

近年の円安を背景に、海外在住の方・外国籍の方が日本の不動産を購入する ケースが増えてきています。

投資や自己使用など目的はさまざまですが、なかには「どのように購入すれば いいのかわからない」「複雑な手続きはある?」といった疑問や不安をお持ち の方もいるのではないでしょうか。

そこで、今回は海外在住の方・外国籍の方が日本の不動産を購入する手順や費 用、注意点を詳しくまとめました。事前にチェックし、疑問や不安をクリアに したうえで手続きを進めていきましょう。

海外在住の方・外国籍の方も日本の不動産を購入できる?

日本には、日本の不動産を購入することに関する法的規制は設けられていませ ん。

さらに土地の所有権にも制限はないため、海外在住の方・外国籍の方も日本の 不動産を購入できます。

また、購入した不動産を自由に売買したり、相続・贈与したりといったことも 可能です。

ただし、日本の不動産を購入すると「取得税」や「固定資産税」といった税金 が課税される点に注意しましょう。

日本の不動産購入に向けて知っておきたい7つのこと

海外在住の方・外国籍の方が日本の不動産を購入する場合、日本人が不動産を 購入するケースとは手続き内容や費用などが異なります。ここでは特にチェック しておきたいポイントを7つピックアップしました。

1.日本の不動産取引と不動産情報について

日本での不動産売買時には、取引のトラブルを防止するために「不動産会社」が 仲介に入ります。

物件情報はインターネット上で検索できますが、ほとんどの場合に日本語で表示 されているため注意が必要です。

なかには海外の方向けに「英語」や「中国語」での表示が可能なサイトもあるの で、日本語に不安がある方はそういったツールを活用しながら情報収集を行うと よいでしょう。

また、海外在住の外国人の場合、日本での不動産購入に必要な書類や送金方法な どが日本人とは異なります。そのため、外国人の不動産取引経験が豊富な不動産 会社を見つけられると安心です。

2.不動産購入手続きの流れ

海外在住の方・外国籍の方が日本の不動産を購入する流れは以下の通りです。

①不動産を探す
自分の目的にあった不動産を探します。

②物件の下見をし、「買付け証明書」を提出する
気に入った物件はなるべく下見を行い、細かな点を確認しましょう。
購入を決めたら「買付け証明書」を提出します。

③支払い方法の確認をする
代金の支払い方法を相談・決定します。住宅ローンを利用する場合は、 ローンの申し込み手続きへと進みます。

④重要事項の説明を受ける
物件の概要や権利関係、売買契約解除の場合の規約などが記載された 「重要事項説明書」の説明を受けます。

⑤「売買契約書」を締結する
「重要事項説明書」の内容に問題なければ契約を結びます。このとき、 物件購入価格の10~20%ほどの手付金を支払うケースが一般的です。

⑥決済・登記をする
不動産購入の資金を決済し、登記(不動産の所有が自分に 移転したことを国の書類に記録する作業)を行います。

⑦財務大臣に報告する(外国籍の方の場合)
不動産取得後の20日以内に、財務省へ不動産購入の旨を報告します。

3.不動産購入時に発生する費用

海外在住の方・外国籍の方が日本の不動産を購入する場合、以下の費用がかかり ます。

費用を支払うタイミング 項目 詳細
売買契約締結時 印紙税 契約書に貼付する印紙代
手付金 売買価格の10~20%
ローン申込時 印紙税 金銭消費貸借契約書に貼付する印紙代
残代金決済時 残代金 売買代金から手付金を差し引いた金額
住宅ローン借り入れにかかる費用 ・融資手数料
・ローン保証料
・火災保険料
日割り清算金 ・固定資産税
・都市計画税
<マンションの場合>
・管理費や修繕積立金などの毎月管理組合へ支払う費用
・町会費等
仲介手数料 不動産会社に支払う手数料
登記費用 ・登録免許税
・所有権移転登記や抵当権設定登記の費用
・司法書士に対する報酬
不動産購入後 不動産取得税 不動産の取得にかかる税金
※不動産の購入後6ヶ月~1年程度の間に各都道府県から「納税通知書」が届き、金融機関で納付

4.不動産購入時に用意する書類

日本の不動産を購入する際に必要な書類は以下の通りです。

・サイン証明書
・写真付き身分証明書
・登記簿謄本(法人の場合)

希望する不動産や国籍によって必要な書類が異なる場合もあるため、 詳しくは購入する不動産の管理会社に確認してください。

5.住宅ローンについて

不動産購入時には「住宅ローン」を利用するケースが多いですが、 日本での永住権を所有していない場合は日本の金融機関でローンを組むことが難 しくなります。日本に支店がある母国の金融機関や、外資系ノンバンクなどの利 用を検討する必要があるでしょう。

ただし、国内銀行の住宅ローンのなかには、いくつかの条件を満たす場合に永住 権を持たない外国人の住宅ローンでも融資可能としているところもあるようです。

6.「不動産権利書」の受け取りについて

不動産を取得すると、1週間ほどで「不動産権利書」が発行されます。
この書類を居住国に郵送してもらうか、不動産管理会社に管理してもらうかを事 前に決めておくとスムーズです。

7.納税管理人を決める

不動産購入後には「不動産取得税」や「固定資産税」といった税金の納付書が税 務署から送付され、納付書に記載の税金を納める必要があります。また、投資用 として不動産を購入した場合は、毎年「確定申告」を行わなければなりません。

そういった手続きを海外から行うことは難しいため、日本で納税の手続きを代行 してくれる「納税管理人」を決めることが大切です。もしも頼める人が日本にい ない場合は、その不動産を管理している不動産管理会社などに相談するとよいで しょう。

日本に「資産管理会社」を設立する海外在住者が急増中!

海外在住の方・外国籍の方が日本の不動産を購入する際には、ぜひ「資産管理会 社」を設立するとよいでしょう。法人化することで「税制上のメリット」が大き いことから、近年人気の高い不動産管理方法です。

そもそも資産管理会社とは

資産管理会社とは、資産管理を事業目的とした法人のことです。自分のために 会社を設けて自分自身で管理するため、「プライベートカンパニー」とも呼ば れています。

資産を既に持っている方が節税のために設立するケースが多いですが、近年は 不動産投資をするために新設の資産管理会社を設立する事例も増えてきていま す。

資産管理会社を設立するメリット

資産管理会社を設立する主なメリットは以下の通りです。

【メリットその1】経費化できる範囲が広い

もしも資産管理会社を設立して不動産賃貸業務を行う場合、収益を生むために 使用したすべての費用を経費化できる点が大きな魅力です。個人で管理よりも 格段に広い範囲で経費化可能で、たとえば法人名義の携帯代や車両維持費、社 宅補助、打ち合わせの食事代、役員の生命保険料、出張時の日当(要.旅費規 程)など、直接的ではない費用も経費として計上できます。

さらに会社が自分自身へ支払う役員報酬や退職金も経費として処理できること から、会社の利益が減少し、法人税の軽減につながります。また、役員報酬や 退職金は給与所得控除や退職所得控除の対象となるため、所得税の金額も抑え ることが可能です。

【メリットその2】社会保険への加入が可能

資産管理会社を設立して「法人」として不動産を管理する場合、政府の社会保 険(健康保険や厚生年金保険)に加入できることもメリットのひとつです。も しも今後日本に移住する予定のある方は、そういった魅力がある点についても 把握しておくとよいでしょう。

【メリットその3】資産の生前贈与が可能

個人で不動産を管理する場合は、資産から受ける収入は本人の資産になります。 一方、法人で不動産を管理して収入を受ける場合は、その収入から配偶者や子、 孫に給与を支給することで生前贈与の効果を得られます。

【メリットその4】相続手続きをよりスムーズに行える

相続手続きをよりスムーズに行えることも、資産管理会社を設立して不動産管 理を行う大きなメリットです。相続に向けて不動産を共有持分等で承継するよ りも、生前に法人へ売却して現金や法人株式として金融資産化しておくほうが 円滑に分割承継できます。

資産管理会社設立時に「バーチャルオフィス」を利用するメリット

海外在住の方・外国籍の方が資産管理会社を設立する際には、「バーチャルオ フィス」の利用が便利です。バーチャルオフィスとは「空間を持たない架空の オフィス」のことで、事務所用に賃貸物件を借りるよりも大幅にコストを抑え られます。

運営会社によって利用可能な機能が異なるため、複数のサービスを慎重に比 較・検討したうえで選定するとよいでしょう。なかには会社設立時のサポート を提供しているサービスもあり、自分自身で行うよりも安心かつスムーズに手 続きを進められます。

まとめ

日本の法律では、国籍や居住地に関係なく不動産を購入できます。 ただし、海外在住の方・外国籍の方の場合は手続き内容や費用などが異なるため、 「必要書類は何か」「支払い方法はどうするのか」などを確認しながらひとつひ とつ準備を進めていきましょう。

ぜひバーチャルオフィスを活用した資産管理会社の設立も視野に入れながら、 より効率的で安全な不動産管理を目指してみてください。

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