近年、相続対策のために「資産管理会社」を設立する方が増えており、会社設
立時にバーチャルオフィスの住所で法人登記を行うスタイルに注目が集まって
います。
そもそも遺産を相続する際には相続にかかる税金が大きな比率を占めますが、
資産管理会社を設立することによって税金負担を大幅に軽減できます。また、
生前贈与ができる、手続きの手間を省けるなどの魅力もあり、スムーズかつ効
率的に資産相続を行うことが可能です。
そこで、今回は相続対策を目的として資産管理会社を設立するメリットを解説
するとともに、会社の設立時にバーチャルオフィスを利用する魅力についても
まとめました。
「何か良い相続対策はないか」とお困りの方、「できるだけ手軽に資産管理会
社を設立したい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
まずは、資産管理会社の概要について知識を深めておきましょう。
資産管理会社とは、不動産や株式、債券といった資産を所有している人が、そ
の資産を管理するために設立する法人のことです。通常の会社のように営業活
動を行うことはなく、あくまで資産をより有利に管理・運用することを目的と
して運営されます。
なお、資産管理会社を運用するにあたっては維持・管理のための資金が必要で
すが、それ以外に必要な条件はありません。法務局で法人登記を行うことで、
どなたでも資産管理会社の設立が可能です。
次に、相続対策を目的として資産管理会社を設立するメリットを5つご紹介します。
資産管理会社を設立して個人の資産を会社に移す最も大きなメリットとしては、
「節税効果」が挙げられます。所有している資産から得られる利益は、個人で受け
取る場合と法人で受け取る場合では税金が異なるためです。
もしも個人で資産を運用する場合、最高税率が課税されると所得税や住民税などを
合わせて50%を超えます。しかし、資産管理会社で資産を所有した場合、法人税と
住民税等を合わせた実効税率は最大約33%です。
課せられる税金は収入が多ければ多いほど高くなるため、資産が多い人ほど資産管
理会社を設立して運用するほうが節税効果は高くなります。
会社のほうが個人よりも広く経費化できることも、相続対策として資産管理会社を
設立するメリットのひとつです。
たとえば個人で不動産を所有していた場合、収入を得るために直接必要なもののみ
が経費として認められます。具体的には修繕費や損害保険料、減価償却費、固定資
産税などです。
しかし、資産管理会社で資産を保有すると、上記のような直接的な支出だけでなく
間接的に関係する支出も経費として計上できます。たとえば社用車や法人名義の携
帯代、打ち合わせの食事代なども経費化でき、その結果会社の利益が減少すること
で法人税の軽減につながります。
相続税対策を目的として資産管理会社を設立する際は、オーナーは不動産ではなく 「資産管理会社の株式」を保有して金融資産化するスタイルが一般的です。相続税 の財産評価においては株式のほうが不動産よりも低い価格で評価されるため、相続 税における節税効果を期待できます。
個人の場合は、資産から受ける収入は本人のみの資産になります。しかし、資産管 理会社を設立して法人として収入を受け、そこから配偶者や子、孫に「給与」とい う形で支給することで、資産を生前贈与することが可能です。
相続手続きがしやすいことも、資産管理会社を設立するひとつの魅力です。
というのも、資産管理会社を設立して資産を金融資産化しておけば、不動産を相続
する際に発生する登記などの手間や費用はかかりません。個人で資産を保有する場
合に比べて、相続手続きをより手軽に、スムーズに行えるでしょう。
資産管理会社には基本的に業務スペースや設備は必要ないことから、「バーチャ
ルオフィス」を利用して法人登記を行うケースが多くみられます。バーチャルオ
フィスとはスペースや設備を持たない架空のオフィスのことで、資産管理会社の
法人登記に必要な登記先住所をレンタルすることが可能です。
ではなぜ資産管理会社の設立時にバーチャルオフィスを利用する方が多いのか、
ここでは主な3つのメリットに注目してみましょう。
「費用をかけずに資産管理会社を設立・運用したい」と考えて、自宅の住所で法
人登記を行うことを検討している場合もあるでしょう。しかし、物件の賃貸借契
約の内容や管理規約によっては法人登記できないケースも多く、それを知らずに
登記申請を行うとトラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。
その点バーチャルオフィスであれば、賃貸借契約の内容や管理規約などを気にす
ることなく法人登記に適した住所をレンタルできます。また、自宅の住所とビジ
ネス用の住所が同じ場合は、自宅の転居時にビジネス用の住所を登記変更する必
要がありますが、住所が別々であればそういった手間を省けることも大きな魅力
です。
資産管理会社の設立時にオフィス用の物件を借りることも可能ですが、その場合 は初期費用(敷金・礼金等)や毎月の家賃の支払いが発生します。一方で、バー チャルオフィスの場合は基本的に「登録費用」や「毎月の利用料金」のみで利用 でき、賃貸物件を借りるよりも大幅に費用を抑えることが可能です。
実は法人登記の際に『本店所在地』として申請した住所は「公開情報」に指定さ
れており、法務局や国税庁の法人番号公表サイト上で誰でも閲覧可能です。その
ため、もしも自宅住所で登記申請を行うと自宅の所在地が広く知られることにな
り、飛び込み営業が突然押しかけてくるなどのリスクがあることを認識しておか
なければなりません。
しかし、バーチャルオフィスを利用すればそういった不安はなく、自分や家族の
プライバシーをしっかりと守れます。
資産管理会社を設立することは、相続対策として大変有効な手段です。節税効果
がある、相続手続きをスムーズに行えるといったさまざまなメリットがあるため、
「効率的な資産管理・資産運用を経て相続したい」とお考えの方はぜひ資産会社
の設立を検討してみるとよいでしょう。
その際はぜひバーチャルオフィスを活用し、スムーズかつ安全な開業・運営を目
指してみてください。