手軽にチャレンジできる資金調達法として、近年大きな注目を集めている「クラ
ウドファンディング」。
初期投資をせずに始められる、自社の事業内容や物品・サービスをPRできるなど
のメリットがあり、特に中小企業の経営者や新規でビジネスを立ち上げる起業家
の間で需要が高まっています。
しかし、利用するクラウドファンディングの種類によっては「事業者の住所や電
話番号を公開すること」が義務付けられており、プライバシー関連のトラブルが
発生する恐れがあるため注意が必要です。
安全かつスムーズに資金調達を進めるためには、利用上の注意点をしっかりと把
握したうえで「リスク回避に向けた対策」を講じることをおすすめします。
そこで、今回はクラウドファンディングの利用時に注意したい「プライバシー関
連の問題」について解説するとともに、効果的なリスク対策として注目を集める
「バーチャルオフィス」の魅力も併せてご紹介します。
クラウドファンディングを活用した資金調達を検討している方は、ぜひ事前に
チェックしてみてください。
まずは、クラウドファンディングの概要を押さえておきましょう。
クラウドファンディングは「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組
み合わせた造語で、不特定多数の人に向けて自社に対する出資を募るスタイ
ルの資金調達法です。基本的にはクラウドファンディングサイトを経由して
自社の物品やサービスをPRし、趣旨に賛同してくれた人から資金を集めます。
クラウドファンディングには大きく分けると「購入型」「寄付型」「金融
型」の3種類があり、種類によってプロジェクトの概要や出資者へのリターン
に関するルールなどが大きく異なります。
「購入型」は、事業者は支援者からの出資を受ける代わりに、自社の物品や サービスをリターンとして提供する形式のクラウドファンディングです。支 援者は市場に出回っていない物品やサービスを事業者から「購入する」イ メージで出資することから「購入型」と呼ばれており、近年国内で利用され ているクラウドファンディングの大多数がこのスタイルに該当します。
「寄付型」は、基本的に支援者へのリターンがない形式のクラウドファン ディングです。事業者・支援者ともに社会貢献を目的としているケースが多 く、たとえば被災地支援や環境保全といった共感性の高いプロジェクトが大 多数を占めます。
「金融型」は、支援者に金銭的なリターンを提供するタイプのクラウドファ ンディングです。リターンの内容によってさらに「融資型(貸付型)」 「ファンド型」「株式型」の3種類に分けられ、新たな投資法として投資家の 間で注目を集めています。
先述のようにクラウドファンディングには主に3種類のスタイルがありますが、
そのうち「購入型」で資金調達を行う場合は【プライバシーに関するリスク】に
注意が必要です。
というのも、購入型クラウドファンディングには「特定表取引法に基づく表記」
の表示が義務付けられており、個人・法人問わず以下の情報の表記が必須となっ
ています。
・【実行者(事業者)の住所】
・【実行者(事業者)の電話番号】
事務所を設けている事業者であれば、事務所の住所や電話番号を記載すれば問題
ありません。しかし、自宅を拠点に事業を運営している方、あるいはこれから事
務所を持たずに起業しようと考えている方は、「自宅の住所や電話番号」を公開
もしも購入型クラウドファンディングの利用時に自宅の情報を公開してしまうと、
以下のようなリスクがあります。
・自宅や個人を特定されやすい
・いたずらや中傷の対象となる危険性がある
・犯罪に利用される恐れがある など
実際に、突然見知らぬ人が訪ねてきたり、電話がかかってきたりといった被害は
少なくありません。なかには詐欺等の犯罪に巻き込まれたり、危険人物が自宅付
近で騒ぎを起こしたりするケースもあり、場合によっては家族や近隣住民に迷惑
をかけてしまう可能性があります。
そういったトラブルが発生すると日常生活や事業運営に大きな支障が出るため、
クラウドファンディングの利用時に自宅の情報を公開することは避けるほうがよ
いでしょう。
自宅住所を特定表取引法に基づく表記の住所として利用すると、上記のような
プライバシー関連のトラブルが生じるリスクがあります。
そこで、もしも「自宅以外の住所を表記して安全にクラウドファンディングを
行いたい」とお考えの場合は、バーチャルオフィスを利用されてはいかがで
しょうか。
バーチャルオフィスとは、実際には存在しない空間をオフィスと見立てる「仮
想のオフィス」のことです。事業用の住所を借りられることはもちろん、運営
会社によってはFAX番号をレンタルできたり、バーチャルオフィスに届いた郵
便物を自宅に転送してもらえたりといったサービスも併せて利用できます。
基本的には登録料や月額料のみで利用できるため、事務所用に賃貸物件を借り
るよりも初期費用やランニングコストを大幅に削減することが可能です。危険
をおかしてまで自宅住所を公開するよりも、バーチャルオフィスの住所を利用
するほうが圧倒的に得策であると考えられます。
近年はクラウドファンディングを利用して自宅を拠点に起業するケースが増え
てきていますが、「購入型」のクラウドファンディングの利用時には【実行者
(事業者)の住所と電話番号】の表記が義務付けられている点に注意が必要で
す。もしも自宅の情報を公開するとさまざまなトラブルに見舞われる恐れがあ
るため、手軽に事務所用の住所をレンタルできる「バーチャルオフィス」を利
用することをおすすめします。
プライバシー関連のリスク回避をしっかりと行いながら、安全な環境でクラウ
ドファンディングを活用していきましょう。