近年「地方創生テレワーク」と呼ばれる働き方に注目が集まっており、地方在住の方が都市圏の企業に籍を置いてテレワークを行ったり、都市圏にお住まいの方が転職せずに地方へ移住したりするケースが増えてきています。また、起業を検討している方の間では、都内の住所をレンタルできる「バーチャルオフィス」を利用しながら地方で業務を行う働き方が人気です。
今回はそういったワークスタイルに興味をお持ちの方に向けて、『地方創生テレワーク×バーチャルオフィス』の魅力について詳しくまとめました。
「仕事の拠点を都会に置きつつのんびりと田舎暮らしを楽しみたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
「地方創生テレワーク」とは、都市圏の会社と労働契約を結びながら、地方にある自宅やサテライトオフィスなどで業務を行う働き方のことです。内閣府地方創生推進室および内閣官房によって推進されており、内閣府が管理する「地方創生テレワーク」ページにおいては以下の通りに紹介されています。
「地方創生テレワーク」とは、地方におけるサテライトオフィスでの勤務等の地方創生に資するテレワークであり、 地方の活性化に貢献するものです。ICT(情報通信技術)を活用し時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方「テレワーク」が広がることで、今までと同じ仕事を今までと違う場所でできるようになります。
「地方創生テレワーク」は、会社を辞めずに地方に移り住む「転職なき移住」、ワーケーションなどによる「関係人口の増加」、東京圏企業による「地方サテライトオフィスの設置」など、「都市部から地方への人の流れ」を加速させ、「人口の流出防止」「地方での雇用」「新規ビジネスの創出」など、多様な形で地方の活性化に貢献します。
引用:地方創生テレワーク|内閣府
つまり、地方創生テレワークの主な目的は「地方の活性化」と「テレワークの普及」の2点です。政府は企業への交付金を創設したり、各地方における移住支援事業を充実させたりといった対策を行うことで、地方創生テレワークの導入を積極的にサポートしています。
地方創生テレワークが推進されつつあるなかで、経営者や起業家の間で注目を集めているのが「バーチャルオフィス」です。バーチャルオフィスとは事業用の住所やFAX番号といった基本情報をレンタルできるサービスのことで、地方に生活拠点を置いたまま都心の住所で事業を行えます。
運営会社によってはバーチャルオフィスの住所に届いた郵送物を自宅等に転送してもらえたり、会議用のスペースを借りられたりするところも存在します。そういった使い勝手の良いサービスを選べば、都市部に生活拠点を移さなくてもスムーズに事業を展開していくことが可能です。
バーチャルオフィスと聞いて、「レンタルオフィスとはどう違うのか」と気になる方もいるかもしれません。ここでは両者の違いについて、さまざまな角度から比較してみました。
レンタルオフィス | バーチャルオフィス | |
月額料 | 月額数万円~ | 月額数千円~ |
スペースの占有 | 占有可能 | 占有不可 |
ミーティングスペース | ありが多い | ありが多い |
登記先としての利用可否 | 利用可 | 利用可 |
信頼度 | 高 | 高 |
郵送物の管理 | あり | ありが多い |
コピー機などの備品 | ありが多い | なしが多い |
レンタルオフィスとは、コピー機やWi-Fi環境といったオフィスに必要な設備を備えた空間を借りられるサービスのことです。物理的にワークスペースが必要で、スピーディーにビジネス環境を整えたい場合などに向いています。
一方で、バーチャルオフィスの場合はレンタルオフィスのように占有スペースの確保や備品の利用はできません。その分利用料金が安めに設定されているため、「できる限り費用を抑えて起業や開業に必要な要素を整えたい」といった場合におすすめです。
今回ご紹介している地方創生テレワークのように、生活拠点を地方に置きつつ都市部においてビジネスを展開していくことを目指す際には、バーチャルオフィスのほうが適しているでしょう。
ここでは、地方創生テレワークを実施するうえでバーチャルオフィスを活用するメリットを、地方自治体側・利用者側に分けてご紹介します。
地方でバーチャルオフィスを利用する場合の、地方自治体側のメリットは以下の通りです。
バーチャルオフィスを利用すれば、地方に生活拠点を置いたまま都内にビジネス拠点を設けることが可能です。人口減少の軽減に向けた対策として大いに役立ち、地方からの転出抑制に繋がります。
バーチャルオフィスはほかのオフィス形態に比べて利用料が安く、手軽に利用できます。そのため、「都心にビジネス拠点を置きつつ地方でのんびりと暮らす」といったライフスタイルを実現しやすくなり、転入増加を期待できます。
地方でバーチャルオフィスを利用する場合の、利用者側のメリットは以下の通りです。
一般的には、事務所に置くほうが「経営が安定している会社」といったイメージを持ってもらいやすい傾向があります。さらには都市部のエリアにおける開拓もしやすいため、地方にビジネス拠点を置くよりもスムーズに経営活動を進められるでしょう。
少ない予算で都心にビジネス拠点を設けられることも、利用者側における大きなメリットです。
一般的にバーチャルオフィスは、5,000円~10,000円程度の登録料(契約時のみ)と、月に数千円程度の利用料金にて利用できます。それに対して都心の賃貸物件を事務所用に借りる場合には、契約時に敷金や礼金、保証金などがかかるほか、毎月数万円~数十万円の家賃を支払い続けなければなりません。
バーチャルオフィスのほうが初期費用・ランニングコストともに少なく済み、負担を最小限に抑えながら事業運営を行えます。
なるべく費用を抑えて起業したい場合に、「ひとまず自宅の住所をビジネス用の住所として使用するのはどうか」とお考えの方もいるかもしれません。しかし、自宅の住所で法人登記を行うと【プライバシー面のリスク】が大きいため注意が必要です。
というのも、法人登記の際に使用した住所は「公開情報」に指定されており、インターネット上で誰でも閲覧できます。個人情報の管理に厳重な警戒が必要な昨今において、自宅の住所が公にされることは非常に危険だといえるでしょう。
バーチャルオフィスの住所で法人登記を行えば、プライバシーが脅かされるリスクを懸念する必要はありません。ご自身や家族の安全性を重視しながら、安心感を持って事業運営に臨めます。
「地方創生テレワーク」は、地方における人口減少や都心の一極集中といった課題の解決に向けて政府も推進しているワークスタイルです。バーチャルオフィスを活用すれば、ビジネスの拠点を都心に確保したうえで、場所にとらわれない多様な働き方を実現できるでしょう。
起業を検討している地方在住の方、都市部から地方への移住を検討している経営者の方は、ぜひ「地方創生テレワーク×バーチャルオフィス」の形態で自分らしいワークスタイルの確立を目指してみてください。