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東京都での開業時に利用可能な融資とは?法人登記におすすめしたい「バーチャルオフィス」の魅力もご紹介

「自己資金をなるべく抑えて開業したい」とお考えの場合は、融資を受けて法人設立を目指すとよいでしょう。まずは利用可能な融資の種類やそれぞれの特徴をしっかりと把握し、ご自身に合った方法を選択することが大切です。

今回は【東京都での新規創業】に焦点を当て、開業時の利用に向いている融資や注意点を詳しくまとめました。さらには、法人登記時におすすめしたい「バーチャルオフィス」の魅力についても併せてご紹介します。

東京都での開業時に利用可能な融資制度をチェック

東京都で新たに創業する方、あるいは事業を開始して間もない方が利用できる融資は、主に以下の6種類です。

・東京都中小企業制度融資『創業』
・日本政策金融公庫の「新創業融資制度」
・市区町村の「中小企業事業資金融資あっせん制度」
・東京都「女性・若者・シニア創業サポート事業」
・東京都中小企業振興公社の「創業助成金」
・東京都クラウドファンディング

「銀行から融資を受けたい」とお考えの方もいるかもしれませんが、新規で事業を始める場合は銀行から直接融資をしてもらうことが難しい傾向があります。上記の方法であれば比較的融資を受けやすいため、ぜひ検討してみるとよいでしょう。

ただし、選ぶ方法によって融資を受けるための条件が大きく異なります。ここから先の項目で各種類における特徴をチェックし、ご自身に合う方法を見つけてみてください。

東京都中小企業制度融資『創業』とは

東京都中小企業制度融資『創業』は、東京都・東京信用保証協会・金融機関の3機関の連携によって融資を受けられる制度です。融資限度額は3,500万円(自己資金なしの場合の融資限度額は2,000万円)で、信用保証料の2分の1を東京都が補助してくれることから、借入時の負担が軽減されるメリットがあります。

なお、利用条件は以下の通りです。

【東京都中小企業制度融資『創業』の利用条件】

東京都内に事業所(個人事業者の場合は事業所または事業用の住所)があり、東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者で、下記3点のいずれかに該当する方

1. 現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している方
2. 創業した日から5年未満の中小企業者等
3. 分社化しようとする会社、または分社化によって設立された日から5年未満の会社

基本的には、開業に向けてしっかりとした事業計画を立てていれば問題なく利用 可能な制度です。東京都での創業をお考えなら、真っ先に検討してみるとよいで しょう。

融資の種類 東京都中小企業制度融資『創業』
融資限度額 自己資金+2,000万円
融資期間 運転資金7年以内・設備資金10年以内
返済据置期間 運転資金、設備資金ともに1年間
金利の目安 1.5~2.5%
問い合わせ先 東京都産業労働局金融部金融課 (TEL:03-5320-4877)
公式サイト https://www.tokyo-sogyo-net.jp/finance/seido_yuushi.html

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」とは

「新創業融資制度」は、日本政策金融公庫が提供する融資制度です。日本政策金融公庫とは政府が100%出資する金融機関のことで、国の経済を活性化する役割を担っていることから創業者に対して積極的に融資をしてくれる傾向があります。

利用条件については以下をご確認ください。

【「新創業融資制度」の利用条件】

下記2点のすべてに該当する方

1. 新たに事業を始める方、あるいは事業開始後に税務申告を2期終えていない方
2. 創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方
※ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」や「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」などに該当する場合は、2の要件を満たすものとされます

「新創業融資制度」は無担保・無保証人で利用できるほか、信用保証料がかからない点も大きな魅力です。上記の条件に該当する場合は、ぜひ検討してみてください。

融資の種類 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」
融資限度額 3,000万円(そのうち運転資金は1,500万円)
融資期間 運転資金7年間、設備資金20年間
返済据置期間 2年間
金利の目安 基準利率2,26%
問い合わせ先 日本政策金融公庫
公式サイト https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html

市区町村の「中小企業事業資金融資あっせん制度」とは

「中小企業事業資金融資あっせん制度」とは、市区町村が市内の中小企業者や農業者、商店街を組織する団体および特定非営利活動法人(NPO)への融資をあっせんしてくれる制度です。取扱金融機関や東京信用保証協会に仲介する形で、有利な条件で融資を受けられるようにサポートしてくれます。

利用条件は各市区町村によって異なるため、管轄の自治体にてご確認ください。
ここでは、一例として渋谷区の利用条件をご紹介します。

【渋谷区における「中小企業事業資金融資あっせん制度」の利用条件】

・渋谷区内に主たる事業所および本店登記を有しており、渋谷区内で1年以上同一事業を営んでいる

・それまでに納付すべき特別区民税(法人は法人都民税) を完納している
・信用保証協会の保証対象業種であり、かつ許認可を要する業種においては許認可を受けている(農業・漁業・性風俗関連特殊営業・銀行業・学校法人などは対象外)
・渋谷区暴力団排除条例に規定する暴力団や暴力団員、暴力団関係者でない

市区町村のあっせんにより、銀行などの金融機関に直接申し込むよりも融資が受けやすくなる印象です。ただし、たとえ自治体のあっせんを受けられても、金融機関や信用保証協会での審査で否決されることもある点に注意しましょう。

融資の種類 「中小企業事業資金融資あっせん制度」
融資限度額 1,500万円
融資期間 5年間
返済据置期間 6ヶ月
金利の目安 1.2%
問い合わせ先 各区市町村の役所
公式サイト https://www.tokyochuokai.or.jp/topics/2006/6/yusi_23.html

東京都「女性・若者・シニア創業サポート事業」とは

「女性・若者・シニア創業サポート事業」は、東京都が女性や若者、シニアを対象に提供している融資制度です。信用金庫・信用組合を通じた低金利・無担保の融資を受けられるほか、地域創業アドバイザーによる経営サポートも併せて利用できます。

対象となるのは、次の要件を満たしている事業者です。

【東京都「女性・若者・シニア創業サポート事業」の利用条件】

・『女性』あるいは『39歳以下または55歳以上の男性』で、都内で創業予定の方、または創業後5年未満の方
・東京都内に本店又は主たる事業所を置き、地域の雇用や需要を支える事業を行う場合
・個人事業主か中小企業で、大企業が実質的に経営を支配していない場合
・公序良俗に問題のある事業や風俗営業などでない場合
・現在かつ将来にわたって暴力団等反社会的勢力と関わらない場合
・租税についての未申告や滞納がない場合

利用者は限られますが、低金利・無担保・据え置き期間ありといった好条件で融資を受けられる魅力的な制度です。上記条件に該当する方は、ぜひ視野に入れてみてください。

融資の種類 東京都「女性・若者・シニア創業サポート事業」
融資限度額 1,500万円
融資期間 10年間
返済据置期間 3年間
金利の目安 1%以内
問い合わせ先 各取扱金融機関
公式サイト https://cb-s.net/tokyosupport/

東京都中小企業振興公社の「創業助成金」とは

「創業助成金」とは、公益財団法人東京都中小企業振興公社が提供する融資制度です。一定の要件を満たす場合に、従業員人件費や賃借料、広告費といった創業初期に必要な経費の一部を助成してもらえます。

なお、具体的な利用条件は以下の通りです。

都内で創業を予定されている方、あるいは創業後5年未満の中小企業者等のうち、以下の要件を満たす場合

・TOKYO創業ステーションの事業計画策定支援修了者
・インキュベーション施設運営計画認定事業の認定施設入居者
・都内の公的創業支援施設入居者
・東京都および都内区市町村が行う創業を対象とする制度融資利用者
・都内区市町村で認定特定創業支援事業による支援を受けた方

助成制度のため、融資のように返済する必要がないことが大きな特徴です。制度融資を受ける場合でも、上記の条件に該当する場合は併せて申し込むとよいでしょう。

融資の種類 東京都中小企業振興公社の「創業助成金」
融資限度額 300万円
融資期間 交付決定日から6か月以上2年以下
返済据置期間 助成対象と認められる経費の2/3以内
金利の目安 従業員人件費、賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費
問い合わせ先 東京都中小企業復興公社事業戦略部 創業支援課 創業助成係
(TEL:03-5220-1142)
公式サイト https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/

「東京都クラウドファンディング」とは

「東京都クラウドファンディング」は、クラウドファンディング利用時に発生する支払い手数料を東京都が補助してくれる制度です。クラウドファンディングとはインターネット上で第三者から資金調達する方法で、この制度を利用して減免された手数料については返済する必要はありません。

なお、利用条件は以下の通りです。

以下に該当する創業希望者または中小企業者

・東京都内で創業する計画がある方
・創業から5年未満の方
・新製品や新サービスの創出に挑戦する方
・『未来の東京』戦略に寄与するソーシャルビジネスを行う方
・大企業が実質的に経営を支配していない場合
・宗教活動や風俗営業などの事業でない場合
・現在かつ将来にわたって暴力団等反社会的勢力と関わらない場合
・法令等で定める租税についての未申告や滞納がない場合

クラウドファンディング利用時の手数料を補助してもらえるだけでなく、入門者向けの相談窓口やセミナー等を利用できることもうれしいメリットです。クラウドファンディングを通じて資金調達を行う際は、ぜひ積極的に活用してみてください。

補助の種類 「東京都クラウドファンディング」
補助限度額 30万円
問い合わせ先 東京ビジネスサポートプラザ【新宿】
(TEL:03-3342-3831)
公式サイト https://www.tokyo-sogyo-net.metro.tokyo.lg.jp/finance/crowd_fun_ding.html

スムーズに融資を受けるためには「事業計画書」が重要!

東京都で創業する場合に利用可能な融資制度はいくつかありますが、どの制度を利用する場合でも「綿密な事業計画を立てること」が重要なポイントです。審査時に事業計画書の内容が重視されることが多く、特に以下の内容が注目される傾向があります。

☑ 自己資金
☑ 事業内容
☑ 事業経験
☑ 事業計画
☑ 担保・保証人

あらかじめ市場や競合他社の分析をしたり、テストマーケティングを行ったりしながら、客観的でわかりやすい事業計画を立てることを意識してみてください。もしも自分ひとりで事業計画を立てることに不安を感じる場合は、税理士や中小企業診断士といった専門家に相談するのもひとつの方法です。

創業時の法人登記におすすめしたい「バーチャルオフィス」の魅力について

「自己資金をなるべく抑えて開業したい」とお考えなら、融資制度とともにバーチャルオフィスの利用について検討するとよいでしょう。バーチャルオフィスとは物理的なスペースではなく事業用の住所を借りられるサービスで、主に以下のような魅力があります。

【メリットその1】都内でオフィスを借りる場合に比べて費用を抑えられる

オフィス用に賃貸物件を借りるよりも、バーチャルオフィスを利用するほうが少ない資金で開業できます。

もしも賃貸物件を借りる場合、契約時に敷金や礼金、不動産仲介手数料といった初期費用がかかるほか、毎月高額な家賃を支払い続けなければなりません。契約時にまとまった資金が必要であることはもちろん、その後もしっかりとした資金繰りが求められます。

一方、バーチャルオフィスを利用する際にかかる費用は、一般的に「5,000~10,000円程度の登録料」と「月に数千円程度の利用料」のみです。開業時のコストや運営時の経費を大幅に削減でき、余裕を持った事業運営を目指せるでしょう。

【メリットその2】ビジネス用の住所と自宅住所を分けることができる

「より費用を抑えて開業したいから」と、自宅の住所で登記申請することを検討している方もいることでしょう。しかし、賃貸借契約や管理規約によって『事業用としての使用は不可』といったルールが設けられていることも多く、その場合は自宅住所では登記申請を行えません。

バーチャルオフィスなら法人登記に適した住所をレンタルできるため、規約などを気にかけることなくスムーズに手続きできます。また、自宅住所とビジネス用の住所を分けることによって、自宅を転居する際に法人登記の変更申請が不要であることもメリットのひとつです。

【メリットその3】プライバシーを保護できる

自宅の住所を事業用にも使用する場合は、プライバシーが脅かされる恐れがある点にも注意が必要です。法人登記時に申請した住所は「公開情報」に指定されており、インターネット上で誰でも閲覧可能な状態となるためです。

その点、バーチャルオフィスを利用して登記申請を行えば、プライバシーのリスクに不安を感じることなく安心して事業を運営できます。そのため、自宅を拠点に事業を行う場合でも、自宅住所ではなくバーチャルオフィスの住所で法人登記を行うとよいでしょう。

まとめ

東京都には、創業資金を集める際に利用可能な融資や助成制度が充実しています。制度によって利用条件や融資額、返済期間といった概要が異なるため、今回ご紹介した内容を参考にしながらご自身に合ったものに申し込んでみてください。

もしも自宅で事業を行うなどで物理的なオフィススペースが必要ない場合は、バーチャルオフィスを利用して法人登記を行うことをおすすめします。事務所用に物件を借りるよりも大幅に初期費用やランニングコストを軽減でき、ゆとりを持った状態でスタートを切れるでしょう。

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