個人事業主としての営業活動が軌道に乗ってきたタイミングで、「法人化」を視野に入れている方もいることでしょう。
手続きの手間やコストはかかるものの各種の節税メリットを得られることから、法人化するほうが有利に事業運営を進められる可能性があります。
そこで、今回は法人化によって得られる主な節税メリットを6つ挙げ、具体的にどのような節税効果があるのかを詳しくまとめました。
さらには、法人登記時に利用すると便利な「バーチャルオフィス」の魅力についてもご紹介します。
法人化に興味をお持ちの個人事業主の方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
法人化をするとさまざまな節税効果があるため、節税対策を目的として法人化を進めるケースが多くみられます。法人化によって得られる主な節税メリットは以下の6つです。
・所得税を軽減できる
・家族の給与を経費として計上できる
・従業員の退職金を損金に計上できる
・欠損金を9年(10年)繰り越しできる
・生命保険料を経費として計上できる
・消費税の課税事業者になるタイミングを遅らせられる
具体的にどのような節税効果があるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
まず注目したいメリットは、所得税の負担額を抑えられることです。
個人事業主の場合は事業活動で得た利益のすべてが課税対象になりますが、法人化すると給与を会社の利益から「役員報酬」として支払うことができ、その分は経費として計上できます。さらに、その給与からも給与所得控除(65~220万円)を追加で差し引くことができるため、全体の所得を圧縮できて節税につながります。
法人化して妻や子といった家族を役員にすれば、家族の給与も経費として計上できます。また、役員報酬を分散することによって先述した給与所得控除額をさらに増やすことができ、節税効果がより一層高まります。
個人事業主の場合は、従業員への退職金を経費として計上することが認められていません。一方で法人の場合は、適正額の範囲内であれば全額を損金として計上することが可能です。
また、5年以上勤務した役員に対して退職金を支払った場合は、その役員は「退職所得」として税制上の優遇を受けられることも注目したいポイントです。
欠損金の繰越控除可能期間が⾧くなることも、法人化によって得られる大きな節税
メリットです。
この欠損金とは「赤字」のことで、その年の収支が赤字の場合は赤字額を翌年度以降に繰り越すことができる仕組みになっています。個人事業主の場合は繰越期間が3年間ですが、法人の場合は9年間(平成29年4月1日以降に開始した事業年度において生じた欠損金については10年間)繰り越すことが可能です。
繰越控除可能期間が短いと、欠損金の額によっては期間内に処理しきれない恐れもあるため、期間が⾧いほうが節税効果は高いといえます。
個人事業主が支払う生命保険料は経費として計上できず、「生命保険控除」も年間で最大12万円しか受けられません。しかし、法人なら従業員を被保険者、受取人を法人として生命保険に契約でき、その保険料の全額、あるいは半額を経費として計上できることから節税につながります。
消費税の納税義務は、「前年上半期の売上高が1,000万円を超えている場合」、あるいは「2年前の売上高が1,000万円を超えている場合」に発生します。個人事業主として課税事業者になるタイミングで法人化すれば、個人と法人は別人格であることから1年間または2年間は課税事業者になることを遅らせることができ、納税負担を減らせます。
ただし、資本金1,000万円未満で法人設立した場合に限られる点に注意しましょう。
ここまで法人化による主な節税メリットをご紹介してきましたが、なかには「法人を設立するとなると、事業用のオフィスを用意する手間やコストがかかってしまう」と不安を感じている方もいるかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、事業用の住所やFAX番号といった【事業を行ううえで必要な基本情報】をレンタルできる「バーチャルオフィス」です。
特に自宅を拠点に事業活動を行う場合に適したサービスで、法人化の際に利用すると下記のようなメリットがあります。
・初期費用や固定費を抑えられる
・プライバシーを保護できる
・都心の住所でビジネスを運営できる
・ミーティングスペースを利用できる
それぞれの魅力について、以下で詳しくご紹介します。
事業用のオフィスを借りる場合、敷金や礼金、仲介手数料といった初期費用をはじめ、毎月数万円~数十万円程度の高額な家賃を支払い続ける必要があります。しかし、バーチャルオフィスであれば「5,000円~10,000円程度の登録料」と「月に数千円程度の月額利用料」のみで利用できるため、初期費用やランニングコストを大幅に抑えることが可能です。
なかには「自宅の住所=ビジネス用の住所」としての法人化を検討している方もいるかもしれませんが、その場合は自宅の住所が公開されるリスクが懸念されます。法人登記の際に申請する住所は「公開情報」に指定されており、その住所は国税庁の法人番号公表サイト等で誰でも閲覧可能になるためです。
その点、バーチャルオフィスを利用すれば契約したバーチャルオフィスの住所が掲載されるため、自宅住所の公開によってトラブルに見舞われる危険性はありません。経営者自身や家族のプライバシーをしっかりと守りながら、安全な環境下で事業運営に集中できます。
バーチャルオフィスにおいては、大企業のオフィスが数多く点在する都心の一等地に拠点を構えているケースが多くみられます。そういった住所を本店所在地として利用することで「信頼性が高い事業者」といったイメージを世間に与えることができ、ビジネスを有利に進められるでしょう。
利用するバーチャルオフィスによっては、ミーティングスペースを貸し出しているところもあります。クライアントとの打ち合わせ時に「場所をどうしようか」と悩む必要がなく、スムーズに案内できて大変便利です。
法人化を行うと、「所得税を軽減できる」「従業員の退職金を損金に計上できる」といったさまざまな節税メリットを得られます。そのため、個人事業主としての売上や利益が一定の水準に達し、今後さらなる飛躍を目標としている場合は法人化を検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、経営状況等によっては個人事業主のままで事業を続けるほうがよい可能性もあります。税理士などの専門家に相談のうえ、法人化するべきか、タイミングはいつがよさそうかなどを慎重に見極めるとよいでしょう。
もしも法人化する場合はぜひ「バーチャルオフィス」の導入も視野に入れて、安全かつ効率的な事業運営を目指してみてください。