近年、テレビやネットなどで話題に上がることの多い「SDGs(エス・ディ・ジーズ)」。オフィス空間でもSDGsへの取り組みが活発化しており、サステナブルなオフィス環境づくりのためにバーチャルオフィス(物理的なスペースを持たない仮想の事務所)を導入するケースが増えてきています。
そこで、今回はSDGsとバーチャルオフィスの関係性に注目し、バーチャルオフィスを利用することによって具体的にどのような面でSDGsに貢献できるのかをまとめました。さらには、バーチャルオフィスの特徴について解説しながら、経営上で得られるメリットについても詳しく解説します。
「SDGsを視野に入れてオフィス環境を見直したい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
「SDGs」は「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」を意味します。具体的には、外務省のホームページにおいて以下の通りに定義されています。
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。
引用:外務省ホームページ
SDGsへの関心が全世界において高まっているなか、企業として各種の社会課題に対応すれば企業イメージの向上につながります。それに伴ってビジネスチャンスの拡大や優秀な人材の確保といったメリットも期待できることから、近年多くの企業が「紙の削減」といった環境保護や、「テレワークの導入」といった働き方改革への施策を打ち出しています。
そんななかで注目を集めているサービスが、物理的なスペースを持たない仮想の事務所である「バーチャルオフィス」です。バーチャルオフィスを利用するとどのような面においてSDGsに貢献できるのか、以下で詳しくチェックしていきましょう。
目標7:「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
目標8:「働きがいも経済成⾧も」
目標13:「気候変動に具体的な対策を」
バーチャルオフィスを利用することによって、テレワークやワーケーションといった多種多様なワークスタイルを実現できます。また、物理的なオフィスを持たないため、オフィスの照明やエアコンの節電などのエネルギー対策に貢献することも可能です。
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
バーチャルオフィスはオフィス物件を借りるよりも圧倒的に少ない費用負担でレンタルできることから、創業時の初期コストを大幅に抑えられます。また、バーチャルオフィスの運営会社によっては「創業支援サポート」を安価な費用で提供しているところもあり、手軽にビジネスの基盤を構築できて大変便利です。
ではバーチャルオフィスとはどのようなサービスなのか、ここでは具体的な特徴を把握しておきましょう。
バーチャルオフィスは、オフィス運営に必要な基本情報をレンタルできるサービスのことです。運営会社によって具体的なサービス内容は異なりますが、一般的にはオフィス用の住所や電話番号、FAX番号などを貸し出しているところが多くみられます。
実際には物理的な業務スペースを所有しているわけではないものの、取引先や顧客にはまるでその住所にオフィスがあるかのように見せることが可能です。なかにはバーチャルオフィスの住所に届いた郵送物を指定の住所に転送してくれたり、ミーティングスペースを借りられたりする運営会社もあり、「自宅でスムーズ&快適にビジネス運営を行える」などと人気を集めています。
バーチャルオフィスとよく似たワードに「レンタルオフィス」があり、なかには同じ意味を持つサービスだと勘違いしている方もいるかもしれません。ここではバーチャルオフィスとレンタルオフィスの特徴について、料金や機能面といったさまざまな角度から比較してみましょう。
レンタルオフィス | バーチャルオフィス | |
月額料 | 月額数万円~ | 月額数千円~ |
スペースの占有 | 占有可能 | 占有不可 |
ミーティングスペース | ありが多い | ありが多い |
登記先としての利用可否 | 利用可 | 利用可 |
信頼度/td> | 高 | 高 |
郵送物の管理 | あり | ありが多い |
コピー機などの備品 | ありが多い | なしが多い |
レンタルオフィスとバーチャルオフィスは、上記のように「スペースの占有可否」と「コピー機などの備品の利用可否」の2点において大きく異なります。
レンタルオフィスでは占有スペースも備品も一括で用意できることが多いため、物理的なスペースが必要で、且つ作業環境をスムーズに整えたい場合に適しています。
一方で、バーチャルオフィスの場合は占有スペースの確保や備品の利用はできないことが多いですが、費用はレンタルオフィスよりもリーズナブルな傾向があります。そのため、作業自体を自宅で行うなど占有スペースが不要の場合や、なるべく費用を抑えて事業を行いたい場合などにおすすめです。
バーチャルオフィスを利用すると、先述のようにSDGsへの貢献につながることはもちろん、以下のような経営上のメリットも期待できます。
・初期費用や固定費を抑えられる
・都心の住所でビジネスを運営できる
・プライバシーを保護できる
・ミーティングスペースを利用できる
具体的にどのようなメリットがあるのか、以下で詳しく解説します。
まず注目したいメリットが、初期費用やランニングコストを抑えた事業運営を目指せることです。
バーチャルオフィスは一般的に「5,000円~10,000円程度の登録料」と「月に数千円程度の月額料」といった少ないコストで利用できることが多く、事務所用に賃貸物件を借りる場合やレンタルオフィスを利用する場合に比べて圧倒的にリーズナブルです。コストカットはサステナブルな経営基盤を形成するうえで非常に重要な要素であり、ゆとりを持って事業運営を進められます。
バーチャルオフィスの拠点は都心に多く設けられており、一等地の住所を手軽に手に入れられることも魅力のひとつです。名の知れた地名がホームページや名刺に記載されていると「信頼性の高い事業者」といった印象を抱いてもらえる可能性が高く、企業イメージの向上につながります。
自分や家族のプライバシーを保護しながら自宅で事業活動を行えることも、バーチャルオフィスを利用する大きなメリットです。
というのも、「本店所在地」として法人登記時に登録する住所は「公開情報」に指定されており、国税庁の法人番号公表サイト等で誰でも閲覧可能な状態となります。そのため、「自宅で事業活動を行うから」と自宅の住所で登記を行ってしまうと、その住所が不特定多数の人に知られることになり、自分や家族のプライバシーが脅かされる可能性があります。
バーチャルオフィスの住所を使用して登記を行えば、自宅住所が公開されることはもちろんありません。安全な環境をリーズナブルに整えられ、安心感を持って事業活動を進められるでしょう。/p>
先述のように、バーチャルオフィスの運営会社によってはミーティングスペースを貸し出しているところも存在します。自宅を拠点に活動する場合はクライアントとの打ち合わせ場所に悩むことも多いため、事前予約によって一時的に物理的なスペースをレンタルできるサービスは大いに役立ちます。
企業における「SDGs」への取り組みは、企業ブランディングの向上や新たなビジネスチャンスの創出といったさまざまなメリットをもたらします。
まずはバーチャルオフィスの導入によって、節電やペーパーレス化などの施策を実行してみてはいかがでしょうか。費用削減やプライバシーの保護といった「経営者側のメリット」も実感でき、事業活動がぐんとしやすくなるでしょう。
運営会社によってサービス内容が異なるため、ぜひご自身に合ったバーチャルオフィスを見つけることから始めてみてください。