「オフィスを移転したいけれど、費用や手間がかかりそうで不安」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。別の事業用物件へ引っ越すとなると引越し費用や新規での賃貸契約費用などが発生するほか、移転登記手続きや保管している文書の処分作業などの手間もかかります。
そこでおすすめしたいのが、今回ご紹介する各種サポートサービスを活用することです。工夫次第でオフィス移転時にかかる費用や手間を大幅に軽減できるため、ぜひチェックしてみてください。
「オフィス移転時にかかる費用をできるだけ抑えたい」「移転に伴う手間を省きたい」とお考えの方は、ぜひ下記のようなサービスを活用するとよいでしょう。
1)バーチャルオフィス
2)文書電子化サービス
3)機密文書廃棄サービス
4)変更登記支援サービス
5)トランクルーム
それぞれの特徴や活用方法について、以下で詳しく解説します。
物理的な業務スペースが不要の場合は、バーチャルオフィスへの移転を検討するとよいでしょう。バーチャルオフィスとはオフィス空間ではなく「特定のオフィス機能」をレンタルできるサービスで、一般的には下記のような機能を備えたところが多くみられます。
・事業用住所の貸し出し
・電話やFAX、郵送物の転送
・会議室の貸し出し など
バーチャルオフィスの利用にあたってかかる費用は運営会社によって異なりますが、相場としては登録料が5,000円~10,000円程度、利用料が月に数千円程度です。別の事業用物件や個室タイプのレンタルオフィスへ移転する場合と比較すると、かなりのコストダウンを望めます。
なかには「自宅住所を移転先とすればさらに費用を抑えられるのでは」とお考えの方もいるかもしれません。しかし、自宅物件の契約状況によっては事業用としての利用が禁じられている場合もあるほか、法人登記によってその住所が公開されることでプライバシーが脅かされるリスクもあります。
バーチャルオフィスを利用すれば事業用に適した住所を安全に使用できるため、物理的な業務スペースを必要としない場合はぜひ活用してみてください。
バーチャルオフィスの費用相場 | 登録料:5,000円~10,000円程度 月額利用料:数千円程度 |
文書電子化サービスとは、契約書類などの紙の文書を電子化できるサービスです。移転を機に文書の電子化を行うことで移転先へ移動させる費用や手間を省けるだけでなく、新たに保管スペースを設ける必要がなくなる、書類の検索や保管がしやすくなって業務効率が向上するなどのメリットがあります。
文書電子化サービスの内容は利用する運営会社によって異なり、データ化の代行に特化したところや、データ化後の保管も引き受けてくれるところなどさまざまです。まずは電子化したい文書の量を確認し、求めるサービス内容や予算も考慮したうえで適切な運営会社を見極めることをおすすめします。
文書電子化サービスの費用相場 | A4サイズ・モノクロの文書の場合、1枚あたり6円程度 |
もしオフィスの移転を機に「大量の機密文書を処分したい」とお考えなら、機密文書廃棄サービスを利用されてはいかがでしょうか。機密文書を廃棄する方法としては主にシュレッダーや焼却処分、溶解処理などがありますが、セキュリティ性の高さを重視する場合は溶解処理の廃棄サービスがおすすめです。
選ぶ業者によって回収方法や処理時の対応が異なるため、高いセキュリティ対策がとられた信頼性の高いところを見極めてみてください。
機密文書廃棄サービスの費用相場 | 1箱1,500円~2,000円程度 ※段ボールを丸ごと溶解処理するサービスの場合 |
オフィスの移転登記に必要な手続きを代行依頼したい場合は、変更登記支援サービスを利用するとよいでしょう。変更登記支援サービスとは変更登記に必要な書類をオンライン上で作成できるサービスで、選ぶ業者によっては法務局への郵送申請をサポートしてくれる場合もあります。
変更登記支援を司法書士などの専門家に依頼することも可能ですが、その場合は変更する内容ごとに30,000~50,000円程度の手数料が発生します。一方、変更登記支援サービスを利用すれば5,000円~10,000円程度で移転登記書類を作成でき、大幅なコストカットを実現できます。
変更登記支援サービスの費用相場 | 5,000円~10,000円程度 ※移転登記手続きのみの場合 |
バーチャルオフィスへの移転にあたって「事業用の荷物を保管できる場所をレンタルしたい」とお考えの場合におすすめしたいのが、荷物の収納・保管場所の確保に役立つトランクルームです。バーチャルオフィスにおいては基本的に物理的なスペースをレンタルすることはできないため、トランクルームを併用することによってより快適に事業活動を進められます。
ただし、一口にトランクルームといってもさまざまな種類があるため、ご自身に合ったタイプを選ぶことが大切です。たとえば大きな物や重たい物も出し入れしやすいタイプを希望する場合は車を横付けできる「屋外型」、セキュリティ面を重視するなら「屋内型」など、求める機能を考慮しながら選定してみてください。
トランクルームの費用相場 | 屋外型:月額2,000円~7,000円程度 屋内型:月額3,000円~20,000円程度 |
先述のように、物理的なオフィススペースを必要としない場合にはバーチャルオフィスへの移転がおすすめです。バーチャルオフィスを選ぶ際には基本的なサービス内容や料金をチェックするだけでなく、下記のポイントにも注目することをおすすめします。
・オプション料金
・会議室等の物理的なスペースをレンタルできるか
・移転登記のサポートサービスの有無
・ビルの閉鎖リスクの有無
・運営会社が倒産する危険性
それぞれのポイントについて、以下で詳しく見ていきましょう。
基本料金でどのようなサービスを利用できるのかを把握したうえで、オプション料金についてもしっかりとチェックしておきましょう。たとえば運営会社の公式サイトに「郵送物の管理」と記載されている場合に、なかには月額料金で利用できるのは文字通り「管理のみ」で、自宅への転送を希望する場合は別途料金が発生するケースも存在します。
特に月額利用料の安さを謳っている業者に多くみられることから、基本料金のみで判断するのではなく「どのような作業にオプション料金がかかるのか」を確認したうえで契約することが大切です。
対面での打ち合わせを要する事業の場合は、ミーティングスペースの貸し出しを行っているバーチャルオフィスがおすすめです。レンタル料や借りられる場所の雰囲気などをチェックし、条件にマッチするところを選びましょう。
バーチャルオフィスの運営会社によっては、移転登記手続きをサポートしてくれるところも存在します。そういった業者を利用すれば変更登記支援サービスを別途契約する手間を省けるため、あらかじめ確認してみるとよいでしょう。
バーチャルオフィスには、運営会社直営の「自社所有運営タイプ」と運営会社が借りた物件を用いて運営されている「賃貸借契約タイプ」の2種類があります。このうち「賃貸借契約タイプ」においては、エリアの再開発やオーナー変更などが原因でビルが閉鎖されるリスクがあるため注意が必要です。
もし契約しているバーチャルオフィスの拠点が閉鎖になった場合は、別のバーチャルオフィスを探して新たに契約しなければなりません。そうなると再び移転登記を行うなどの手間がかかるため、できれば閉鎖リスクがほとんどない「自社所有運営タイプ」の業者を選ぶことをおすすめします。
バーチャルオフィス運営会社の倒産リスクも、事前にしっかりと確認しておきましょう。特に月額利用料が相場よりも安すぎるところは利益率が低いため、経営破綻によって倒産するリスクが懸念されます。
料金の安さだけにとらわれず、運営会社の業績や創業年数、評判などにも注目しながら、信頼性の高いところを選定することが大切です。
オフィス移転に伴う作業の手間やコストを抑えたい場合は、各種のサポートサービスを利用することがポイントです。また、自宅を拠点に事業を行うなどで新たな事業用スペースを必要としない場合には、必要最低限のオフィス機能をレンタルできる「バーチャルオフィス」を活用するとよいでしょう。
ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、リーズナブル&効率的なオフィス移転を目指してみてください。