登記されている情報が記載されている「登記情報」と「登記簿謄本(登記事項証明書)」。
どちらも“登記事項を確認できる”点では共通しているものの決定的な違いがいくつか
あることから、用途によって使い分けることが大切です。
そこで、今回は「登記情報」と「登記簿謄本(登記事項証明書)」の特徴や両者の違
いを詳しくまとめました。
また、法人登記の準備を進めている方に向けて、登記時に必要な本店所在地を手軽に
設けられる「バーチャルオフィス」の魅力についてもあわせてご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
「登記情報」は、社名や本店所在地、資本金、役員、代表取締役といった登記簿 の内容をオンライン上で確認できるものです。法務局が提供している有料サービ ス「登記情報提供サービス」によって閲覧・出力が可能で、インターネット環境 さえあればいつでもどこでも登記情報を確認できます。
「登記簿謄本」は、登記簿の内容が記載されている公的書類のことです。かつては
登記簿が紙で保管されていたことから「登記簿謄本」の名称が利用されており、今
もなお定着していますが、登記簿の情報が電子化されて以降は「登記事項証明書」
が正式名称となっています。
なお、登記簿謄本(登記事項証明書)は法務局で手数料を支払うことによって誰で
も取得でき、窓口だけでなくオンラインや郵送にて交付申請を行うことも可能です。
続いては、登記情報と登記簿謄本(登記事項証明書)の違いに注目してみましょ
う。
最大の違いは、「証明書としての効力があるかどうか」です。
登記情報はオンライン上で確認するだけでなく印刷することも可能ですが、出力
した書類は証明書としての効力がありません。
つまり、登記情報はあくまで登記事項の内容を確認することを目的として利用可
能なサービスであり、第三者への提出には適さない点に注意が必要です。
そのため、もし第三者から登記事項証明書の提出を求められた場合は、登記情報
ではなく登記簿謄本(登記事項証明書)を取得・提示する必要があると認識して
おきましょう。
ちなみに、「登記情報」と「登記簿謄本(登記事項証明書)」の違いや注意点に
ついては東京法務局の公式サイト上にも記載があります。
※参照:東京法務局「インターネットを利用して,登記事項を確認するサービスについて」
https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/netriyou.html
なお、オンラインで登記簿謄本(登記事項証明書)を請求する場合と、登記情報
提供サービスを利用して登記情報を取得する場合における具体的な違いは以下の
表をご確認ください。
※参考:東京法務局「インターネットを利用して,登記事項を確認するサービスについて」
https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/netriyou.html
これから法人を設立する場合、法人登記時に申請する本店所在地をどこにしよう
かお悩みの方もいるのではないでしょうか。物理的なスペースを要する場合は賃
貸オフィスやレンタルオフィス等の利用が適していますが、もしスペースが不要
であれば「バーチャルオフィス」を利用すると大変便利です。
法人設立時にバーチャルオフィスを利用する場合、具体的には主に下記のような
メリットがあります。
・少ない費用負担で事業用拠点を設けられる
・法人登記に適した住所を借りられる
・プライバシーを保護できる
・ミーティングスペースを利用できる場合もある
・法人設立時の各種手続きをサポートしてもらえる場合もある
具体的にどのような魅力があるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
まず注目したいメリットは、オフィスを借りる場合と比較して大幅に費用を抑え
られることです。
一般的に、バーチャルオフィスは「5,000円~10,000円程度の登録料」と「数千円
程度の月額料」で利用できます。一方で、オフィスを賃貸する場合は賃料の6か月
~12か月分の保証金や賃料の1か月~2か月分程度の礼金、賃料の1か月分程度の仲
介手数料といった莫大な額の初期費用に加え、賃料も月額数万円~数十万円ほど
かかります。
バーチャルオフィスのほうが圧倒的に少ないコストで事業用拠点を設けられるた
め、物理的なスペースが必要ない場合はぜひ活用するとよいでしょう。
もし自宅を拠点に事業活動を行う場合は、バーチャルオフィスの導入によって法
人登記に適した住所を借りられることもメリットのひとつです。
というのも、自宅の物件状況によっては「事業用としての住所使用は不可」と
いった契約のケースも多々あり、その場合は自宅住所を本店所在地として使用す
ることができません。その点、バーチャルオフィスの住所は事業用として問題な
く使用でき、登記申請手続きを円滑に進められます。
物件の契約内容によっては自宅の住所を本店所在地として申請できる場合もあり
ますが、その場合は「プライバシーが脅かされるリスク」に注意が必要です。
本店所在地として登録された住所は国税庁の法人番号公表サイトなどで誰でも閲
覧可能な状態となることから、誰かが突然自宅を訪ねてきたり、自宅住所が犯罪
等に利用されたりと、何らかのトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
バーチャルオフィスの住所で登記申請を行えば、そのようなリスクを不安に感じ
る必要はありません。プライバシーが保護された環境で、安心感を持って法人活
動に専念できるでしょう。
バーチャルオフィスのなかには、一時利用可能なスペースのレンタルサービスを 行っているところも存在します。特に自宅を拠点に事業活動を行う場合はミー ティングや面談時の場所選びに苦労することが多いため、そういったサービスの ある運営会社を選ぶと大変便利です。
スムーズに法人設立手続きを行いたい場合は、設立時に必要な各種手続きのサ ポートを行っているバーチャルオフィスを選ぶとよいでしょう。有料でサービス を提供している運営会社が多いですが、一般的には士業に依頼するよりも費用を 抑えられるケースが多く、自力での申請に不安を感じる方などにおすすめです。
「登記情報」と「登記簿謄本(登記事項証明書)」の主な違いは、“証明書として
の効力があるかどうか”です。
公的書類である「登記簿謄本(登記事項証明書)」は官公庁や金融機関といった
第三者への提出が可能ですが、「登記情報」はあくまで登記内容を自分自身で確
認する場合にのみ適しています。つまり、「登記情報」のデータを印刷して提出
しても法的な証明書として認めてもらえないため注意しましょう。
もし事業用住所が必要で「手軽に拠点を設けたい」とお考えなら、バーチャルオ
フィスの利用がおすすめです。その際は法人設立のサポートやミーティングス
ペースのレンタルといった便利なサービスを行っている運営会社を選ぶと、より
快適に事業活動を進められるでしょう。